四国山脈と吉野川に囲まれた徳島県美馬市にある司菊酒造は、「菊の花のふくよかで気品ある香りを酒の理想」として命名されました。
明治29年の創業以来、越後杜氏の手造りの技で造られてきましたが、平成11年より、その伝統の技を阿波杜氏が受け継ぎ、
阿波杜氏手造りの地酒として醸しだしています。
現在杜氏を務めるのは四代目、苛原靖司。素材にこだわり、手仕事を増やし、より良質な酒造りを目指しています。
「毎年同じ条件で、同じ様に造ったとしても、同じ酒にはならない。」だからこそ、酒造りは面白く、難しいと杜氏は言います。
「お酒は生きています。」いつも語りかけ、状態を見極め、最高の酒造りに挑み続けています。
徳島県美馬市は、市のほぼ中央を四国最大の川 吉野川が横たわり、そこに清流 穴吹川など幾多の川が合流する地です。
北側の阿讃山脈、南側の剣山など、ほとんどが山地で、総面積の約八割が森林となっており、
清らかな水と豊かな緑に囲まれた自然美豊かな地域で、米や野菜の一大産地にもなっています。
気候は、冬は寒く、夏は暑い、その気候を利用し、昔から一年間で最も寒い大寒の時期に仕込みをおこないます。
仕込水は、酒蔵の敷地内にある四国山系竜王山地下伏流水(井戸水)。この水は軟水のため優しい日本酒になるのです。
水や米に恵まれ、酒造りに適した、このような地に酒蔵はあります。
原料米は「山田錦」「吟のさと」など、地元徳島産の米を厳選。
山田錦を改良した新品種「吟のさと」は杜氏自ら米づくりに携わっています。
「原料から携わることで、お米から商品まですべてに責任を持ち、
お客様に安心して飲んでいただける酒を造りたい。」
という思いによるものです。
そして平成27年、司菊酒造は米と麹のみで造る純米酒蔵として進化。
純米大吟醸、純米吟醸、純米酒だけを造る蔵になりました。
純米酒と本醸造酒との違いは醸造アルコールを添加していないこと。
米と水という自然の恵みを最大限に生かすため、日本酒の伝統的な純米造りに回帰するのは
自然あふれるこの地にある蔵にとって、必然の選択でした。
まずは杜氏渾身の一滴「きらい」から、司菊酒造は新しい一歩を踏み出しました。